【公開10周年記念】セラフィックブルー各種考察

 

0.はじめに

2014年5月15日で公開10周年を迎える超大作フリーゲームセラフィックブルーの考察(という名の個人的な妄想メモ)です。あまりまとまった内容ではないですが、文頭あたりだけ読んで、適当に話のネタにでもしてもらえればと。

殆どがネタバレとなりますので、これからプレイする予定のある方の閲覧はオススメしません。

ブログ記事という性質上、皆様にとっても引用やら長文やらでコメントがしやすいと思いますので、「俺はこう思うぜ!」というのがあったら、お気軽にコメントいただければと思います。

面白いと思ったものがあれば、それに基づいて記事に追記するかもしれません。

 

 

1.セラフィックブルーは何故戦うか

つまり、「セラフィックブルーではなく、職業軍人GCと戦えばいいんじゃね?」というのが通用しない理由の考察。

まず、セラフィックブルーと一般人がGCに対して出来ることの違いを上げてみる。

 

セラフィックブルー

エンデやS級GCの妨害がなければガイアリバースでGCを一掃できる。

■一般人

モンスターとして現出したGCは攻撃可能。

 Ex1.オーグやCMGCはGCとの戦闘を任務の一つとしている。

 Ex2.ランサードはS級GC2体が融合したイーブル(ディザスティア)を打倒している。

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一般人がモンスターとして現出していないGCを攻撃する手段があるのかについてはわからないが、そういう描写が出てきていないことから、ここでは攻撃手段がないものと仮定して話を進める。

ガイアリバースを発動させるためにS級GCを打倒する必要があるわけだが、GCはモンスターとして表出しなければ攻撃できない。

では、 S級GCはどんなときに表出してくるのか。

 

エンデがS級GCを呼び出した目的は以下のとおり。

1st.イルムガルト・・・レイク抹殺
2nd.オルトルート・・・レイク・ヴェーネの抹殺
3rd.ディートリンデ・・・レイクの抹殺
4th.ザーラ・・・偶然の出現
5th.バルバラ・・・ユアン抹殺
6th.ゲルトラウト・・・レイク抹殺
7th.ヴィルヘルミーネ・・・エル救出
8th~10th・・・天空境界消滅

 

4thのザーラが偶然の出現で、7thは手駒を増やすこと、8th~10thが武力衝突の布石が目的だが、過半数はセラフィックブルーの抹殺目的で召喚されていることがわかる。

 

詰まるところ、セラフィックブルーを餌にすれば、エンデとS級GCが釣れるってこと。

 

実はセラフィックブルーというのは、エンデとS級GCを釣り出し、返り討ちにするための餌だったのではなかろうか。

そして、セラフィックブルーが国家最重要機密である以上、政府や軍による表立った支援が不可能だと考えると、彼ら自身にGCを返り討ちにするだけの実力が求められていたのではなかろうか。(その実力をつける一環がアカデミーでのヒーラー課程とか。)

 

「いきなり襲われると思うから、それを返り討ちにしてね♪」とか、そんな役割、放棄したくもなりますね。

 

 

2.ジークベルトの教育は止められたか

いや、止められない(反語)

 

モーガンの父、ラルフ委員長は色々と口出ししてたみたいで、ある程度の制止はしていたものとは思われる。

しかし、それでも教育スタンス自体が変更されていないことを考えると、力ある人の一言で止まる性質のものではなかったことが推測される。

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力のある人であれば、有効性の証明できる対案を採用することは可能だったかもしれない。

逆に言えば、それが「おかしい」と分かっていたところで、誰も有効な対案を提示できなかったから、教育方針が覆らなかったとも言えるのではなかろうか。

 

代弁者曰く、ヴェーネの使命放棄への対策は二種類に大別される。

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一つは当事者の健全育成や心のケアといった事後方策。

もう一つは、そもそも彼女を人間ではなく道具として育成する事前方策。

 

しかし、責任ある公的機関が採り得る方策は、実質一つしかなかったのではなかろうか。

CMGCの評判については、フォクシーが「御役所絡みの宿命か、腰は重いし足回りも全然」と述べている。

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「御役所絡みで腰が重く、足回りも全然」な組織はどんなものか。

税金が注ぎ込まれている非営利団体だと仮定すると、お金の使い方一つとっても有効性を証明できなければ、業界との癒着、税金の無駄遣いを疑われ、政府共々、人々の攻撃に曝される可能性が高い。

必然的にその内情は、生真面目に有効性が証明できる仕事をする組織となるのではなかろうか。こういう組織でプロジェクトに資金を廻してもらうには、事前に有効性を証明できるプランを提示する必要があったのではないかと推測する。

 

健全育成の方針というのは、使命の放棄というリスク管理がヴェーネの自主性に任されることになるため、そんな生真面目な組織の中で、リスクマネージメントが不可能と看做されるのではなかろうか。つまり、この事後方策はCMGCのプロジェクトとしては承認され得ないものだったものと筆者は考える。

そのリスクソリューションとして「道具」として育成するという方針が採用されたのは必然であり、その方針を楽しむことが出来るジークベルトというのは、単純にプロジェクトに適任な人物だった、というだけの話と言えるのではなかろうか。

言い換えれば、このプロジェクトに「"予定外"は許されない」ということである。

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このソリューションに対する反論としては、「生への意志」の欠如がガイアリバースの失敗に繋がる可能性の指摘があったかもしれないが、当時のヴェーネはたかが片翼である。

ヴェーネが片翼時にエルの存在を「その程度」と高を括っていたのと同様に、使命放棄のリスクと天秤に掛ければ安いリスクだと踏まれたのではなかろうか。 

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 ※ 余談。ジークベルトはヴェーネをゲームの駒として楽しんでいますが、我々プレイヤー側も彼女をゲームの駒として使っているんですよね。あと、彼女の辿る道を楽しみながら見ている点も、共通していると思います。

我々がどれだけヴェーネに感情移入しようと、どれだけジークベルトを非難しようと、ヴェーネを享楽の道具としている点はジークベルトと一緒なんでしょうね。

 

3."存在の不安定さ"と"本質の領域"

レイクがソウルストリームに落とされたときに見た、本質の領域。それは存在の不安定さに起因するエネルギーをガイアリバースに向けるために必要な対話を行うための場だったのではないかという仮説。

 

■ガイアプロビデンス上に於ける存在の安定具合

←安定 パーソン>セラパーソン>セラフィックブルー(特異点) 不安定→

 

"存在の安定"を、「こういう生き物だ」という情報の安定度と仮定してみる。

 

パーソン

 ・安定して"人間"である。

セラパーソン

 ・新規固体。まだ不安定でルシファー化することがある。

 ・ルシファー化した際の形状も様々。

セラフィックブルー両翼

 ・本体の不安定さを肩代わりするため、高確率でルシファー化。

 ・魂となって他者の体に宿るという、本来の摂理から離れた芸当も。

セラフィックブルー本体

 ・不安定を通り越して特異点

 ・ソウルストリームから落ちても生死の決定権がある。

 ・天空境界の通過拒絶対象外。

 ・怒りで黒い翼を生やして飛翔する。(もはや人間技じゃないよね)

 ・第一次生体でありながらセラフィックトランスを発動。

 ・そもそもその誕生自体、両翼の想いによって摂理を超えたもの。(ドナルド談)

 

傾向として、存在が不安定な存在ほど、"人間"の定義を離れた事象を引き起こしているように映る。

 

【仮説】

不安定な存在には「自分はこういう生き物だ」という定義に使われるエネルギーがあるのではなかろうか。

このエネルギーのことをここでは仮に"定義エネルギー"と呼ぶこととする。セラパーソンやセラフィックブルーに見られる特異な現象は、このエネルギーによって不安定な定義を書き換えることによって起きているのではなかろうか。

また、(特にセラフィックブルーは)このエネルギーの方向性を、意思によってある程度コントロールできるのではなかろうか。

 

セラフィックブルーの誕生と定義エネルギー

パーソンとセラパーソンのハーフは通常誕生しない。これは、ガイアプロビデンス上で定義されていない存在だからではなかろうか。

受精時に定義エネルギーは発生しているが、そのベクトルが不確定で"生"に向かわなかったために誕生しなかったのではなかろうか。両親の「二人の子供が欲しい」という想いによって定義エネルギーのベクトルが"生"の方向に定まり、その子がガイアプロビデンス上の定義を得た。筆者はそのように考える。

 

■本質の領域について

レイクがソウルストリームから落ちた先で自己と対話し、自己の意思で生死を決定した領域。というか、おそらくは自己と対話するための領域。

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で、本質の領域で自己と対話した結果、レイクは"生"を選択し、普通の人間では生き残れない状況を生き残ることとなる。この現象は一体何なのか。

さきほどの定義エネルギーの話で考えてみる。まず、セラフィックブルーとはガイアプロビデンス上の特異点であり、最も定義が不安定な存在である。そのため、定義次第で生死ぐらいどうにでもなったのではなかろうか。

そして、レイクが"生"を選んだことにより、定義エネルギーがレイク生存に向かって動き出した結果、ソウルストリームに乗れる存在となり、ガーデンの観測行為を妨害できる存在となり、生き残ることに成功したのではなかろうか。

 

つまり、本質の領域とは、定義エネルギーのベクトルを決める脳内会議なんじゃなかろうか。

 

ちなみに、本質の領域については、ラウレンティアを登る前、ソウルストリームを見上げているときに、オーファも言及している。

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上記スクリーンショットの後に続くオーファのセリフは「貴女は独りではないのだから。」である。

誰もが孤独な場所でヴェーネだけが独りではない。そして、レイクと同じく自己との対話を行う。「自己との対話でありながら、独りではない。」この条件に当て嵌まる場所を考えると、ヴェーネがオーファやエルと対話する領域に行き着く。

 

さて、ヴェーネはオーファやエルと対話することで何をしていたのか。

レイクのときと同様、定義エネルギーのベクトルを決める脳内会議を本質の領域とするのであれば、ヴェーネはオーファやエルと対話しながら、定義エネルギーのベクトルを確定させていた可能性が考えられる。

では、その定義エネルギーのベクトルを確定させる対話は、何を目的に行われていたのか。

 

実は、それこそがガイアリバースだったのではなかろうか。

 

つまり、ガイアリバースとは、不安定な存在であるセラフィックブルーが、自己を確立させることで引き起こされるものだったのではないかと。そう考えると、エンディングで「ヴェーネが生きる意志を持たないとガイアリバースが起きない」という流れも説明ができるのではなかろうか。

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さらに言うと、ヴェーネが対話を通じて定義エネルギーをエルに注いだ結果、エルが形而下に存在するものとして定義され、ヴェーネから独立したのではなかろうか。むしろ、エルこそが本当の意味でのヴェーネであることを考えると、エルが定義エネルギーのベクトルを決める主体となっていても不思議ではない。

エルが世に溢れる"終末への意志"を集めるようになったのも、"意思"がエネルギーのベクトルを定めることを知っていたからなのではなかろうか。

 

4.ヴェーネは救世の道具か

ジークベルトは、ヴェーネから心を奪い去り、救世の道具を作ろうとしたわけだが、果たして本当にその教育でヴェーネは救世の道具となったのだろうか。意見のわかれるところかもしれないが、ここではヴェーネが人間らしい心を持っていたのではないかという前提で、その材料を集めてみる。

 

■フリッツの見る世界を羨ましがる

アイシャの空に赴く直前のフラレッツのシーンより、ヴェーネのこのセリフ。

「だって、貴方の見る世界は輝いている。」

「"Never give up"を寛容に受け入れ、ジャックポットを希望的観測として容認する。」

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ヴェーネも、希望を持って生きられるなら生きたかったのかもしれない。

フリッツの生き方を羨ましがるヴェーネは、それを"心"で望んでいたのだろう。

 

■面識有る人々が助かれば、それで充分

最終決戦直前、ヴェーネとエルの会話にて。

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上記の他はおまけと言い切るヴェーネ。

ヴェーネが本当に"救世の道具"に過ぎないとしたら、世界を救うのにこのような個人的な理由を出すだろうか。

特定個人への好意を抱いたりもする。ヴェーネは人を想うことが出来る人物と言えるのではなかろうか。ヴェーネは、非情に徹することで、自分がどうなろうとも、これらの人々を助けようとしていたのかもしれない。

 

■ヴェーネちゃんの貴重な涙シーン

ラウレンティアにて、ユアンとの再会を機に記憶を取り戻すヴェーネの独白。

「総ては元に戻り、運命は再び動き出す。私の嘗ての日々が戻ってくる。」

「寂しかった。喪失の気持ちが、只管に胸を蝕んだ。」

「惜しんでいるのだろうか、その日々を。」

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寂しかった。惜しんでいる。喪失の気持ちで涙を流す。

どう見ても道具ではなく人間です。本当にありがとうございました涙prpr。

 

■猫を殺す優しさ

ヴェーネが猫を殺すシーンはそこそこに猟奇的で反感を持たれる要素とも思われるが、そもそも、ヴェーネが猫を殺したのは優しさ故なんじゃなかろうか。

ジークベルトがヴェーネにプレゼントする猫は、例外なく殺処分の決まった救いのない猫である。自分が殺さなくてもジークベルトが殺してしまうため、ヴェーネが即死させてあげることが目下一番の救いと言える。

ヴェーネにとっては本来、苦しんで死のうが関係ないはずの猫。それをわざわざ救ってしまうぐらいにはヴェーネは優しいのかもしれない。

ちなみに、猫が本当に殺処分の決まったものかをジークベルトに問うシーンもあり、無為な死を避けようとする心の動きも見える。

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5.エンディングの肖像画のタイトル

ニコニコ動画にて上げています。

 

 

6.最後に

思った以上にうまくまとまらなかったですねw
まあ、文頭あたりでも読んで、適当に話のネタにしてもらえればと。